一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
ここに来れただけでもラッキーだと思わなきゃね。
気を取り直して鳥に餌をやる。
人も少なく、ゆったりとした時間が流れていて、心からリラックス出来る。
餌やりしながら城に向かって二十分ほど森の中を歩いていく。
気温は五度と寒いが、この道のりが心地よくて苦にならない。
ようやくお城が見えて来て中に入った。
ワインの貯蔵庫、客間、会議室、寝室とたくさんの部屋を見ていくと、ところどころに甲冑が飾ってあったりして、中世の歴史を感じる。
階段を上って屋上に出れば、靄が晴れて湖が一望出来た。
六百エーカーの広大な庭園に湖、それに木が生い茂った森。
「……綺麗」
自然に口から言葉が出た。
チラッと時計を見たら、午後三時を回っている。
イギリスではまだ十二月二十三日だけど、日本では今二十四日の午前零時。
「二十三歳の誕生日おめでとう」
時計を見ながらフッと笑う。
半年前は、この日を迎えられないと思っていた。
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