一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
誰もいないひとりだけの誕生日。
寂しさ半分、嬉しさ半分。
でも、ふと思う。
あとどれくらい生きられるかわからないのに、なにを生きがいにしたらいいの?
もう匡のところには戻れない。
実家で家族と過ごすのもなんだか辛い。
私はどこにいればいい?
病院でじっと死を待つなんて嫌だ。
今ごろ匡や実家の両親は、私がいなくなって大騒ぎしているかもしれない。
誰にも言わずにイギリスに来てしまった。
私のスマホは鳴らない。
あえてイギリスでつながるよう手続きはしなかった。
もし日本に戻ったら、私のスマホの着信履歴は凄いことになっているかも。
私のことをみんなの記憶から消せたらいいのに……。
そしたら、私がいなくなってもみんな悲しまずに済む。
「このまま空気になって消えちゃいたいな」
ポツリとそんな弱音を口にしたら、背後からよく知った声が聞こえて心臓が飛び出そうなくらい驚いた。
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