一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「俺の前から消えられたら困るんだけど」
匡?
これは幻聴だろうか。
恐る恐る後ろを振り返れば、彼が後ろに立っていてわざとしかめっ面をしている。
「匡?なんで……」
“イギリスにいるの?”と聞きたいが、声にならない。
心臓はバクバク。
「この家出娘。俺が大阪出張の間に勝手に出て行くなよ」
彼はツンといつもの調子で私の額を指で小突いた。
「どうして私がイギリスにいるってわかったの?」
彼の姿を見ても幻に見える。
なんとか喉の奥から声を絞り出せば、匡はフッと微笑した。
「悪いと思ったがお前の日記帳見た。それにお前が持ってたガイドブックのこの城のページに付箋がしてあったしな」
日記を見たということは、私の彼への思いも病気のことも知ってしまったということ。
全部知られた。
一気に血の気が引いて、顔が青ざめる。
逃げなきゃ。
城の中に戻ろうとしたら、匡に腕を掴まれた。
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