一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「刺し身ならマグロとかブリがいいな」
璃子の手からカゴを奪うと、彼女は少しハニカミながら礼を言った。
「あっ、ありがと」
その顔を見て珍しくしおらしいと思ったのだが、彼女は調理酒やごま油、醤油、みりん等のガラス瓶の重いものをカゴに入れていく。
「重い!お前、入れすぎ」
片手だと手が千切れそうだ。
顔を歪めて文句を言ったら、彼女は腰に手を当てて俺をじっとりと見た。
「匡の家に調味料がないのがいけないんじゃない」
逆ギレかよ。
こういう時の彼女には歯向かってはいけない。
小一時間平気で俺に説教するから。
「あー、はいはい」
聞き流して、黙って荷物持ちに徹する。
「ねえ、私がお世話になってる大学の先生が匡の高校時代の先輩らしいんだけど、知ってる?」
俺の……先輩。
あー、直が前に久野先輩の話をしてたっけ?
「久野さんのことか?」
璃子の目を見て答えたら、彼女は大きく頷いた。
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