俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「どうかしたか?」

「……スーツ姿ではなかったので……」

まさか私服がカッコよくて見惚れていました、なんて恥ずかしくて言えない。

「ああ、これから着替えるからな。俺もお前も。それに今日はデートだから、堅苦しい装いはやめた」

「わ、私ですか?」


着替えるって……どういう意味?


今日は撮影会の見学とはいえ、プライベートなので普段通りの装いで構わないと事前に言われていた。

しかもできるだけカジュアルな格好を、と条件までつけられていた。


そんな思惑があっただなんて。


「暑いし、敷地内に入ろう」

美術館の入口に視線を向けながら、どこか面白そうに口角を上げて言う。

「……あの、撮影会の見学ですよね?」

「ああ、ただ多少協力をしてもらいたいんだが」

「それはもちろん、私でお役に立てるなら……」

そう返答すると、彼はふわりと相好を崩す。

先日会社で見たものとはまったく違う、柔らかい表情に明るい夏の陽射しが降り注ぐ。

「ありがとう。足は……大丈夫そうだな」

言うが早いか、私の左手を当たり前のように取り、自身の長い指と絡ませる。

あまりに自然な動作に反応が遅れてしまう。
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