俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
管理人室周辺は多くの人とたくさんの機材で混雑していた。

管理人室はちょっとした更衣室と控え室のようになっているみたいだった。


まだ時間に余裕があるのか、彼は外に置いてあるベンチに腰を下ろす。

促されて私もその隣に座る。


頭上には夏の太陽に育まれた鮮やかな緑の葉が広がる。

葉と葉の隙間からこぼれ落ちる光はキラキラと輝いて、幻想的でさえある。

生ぬるい風にさらわれて黒髪がさらりと揺れ、端正な横顔に見惚れそうになる。


「……あの、城崎さんとはお知り合いなんですよね?」

沈黙を破るようにおずおずと話しかけてみる。

「ああ、俺も姉貴も小さい頃からよく面倒をみてもらった」

その答えに先ほどの気安い会話が腑に落ちた。


きっと私が可愛がってもらったように、彼らも大事にしてもらったのだろう。

もしかしたら私よりも長い時間をともに過ごしているのかもしれない。

頭の片隅でそんなことをふと考えた。


ただそれ以上会話が続かない。

どうしようかと逡巡していると、隣から溜め息を聞こえた。


「……悪い、気を遣わせた」

拗ねたような表情を向けられて、平常心を失いそうになる。

「……城崎さんは沙和を名前で呼んでプレゼントもしている。改装の件も知っていて少し余裕をなくした」
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