俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
何回も押し問答を続けるが、この人はいっこうに諦めない。

段々と根気負けしてきた私は小声で尋ねた。


「……今回だけ、ですよね?」

「ああ、もちろん」

「……だったら……」

「さすが沙和。助かるよ」

私がはっきり返事しないうちに、麗しい微笑を浮かべて結論づける。

まんまとのせられてしまった気がする。


それから彼は颯爽と男性とともに更衣室へ向かっていく。

残された私は女性スタッフに連れられて、重い気分で更衣室に向かった。


……ああ、もう本当に。なんて人なんだろう。


女性スタッフの皆さんの素晴らしい手腕のおかげで、迅速な着替えとヘアメイクを済ませた。

鏡に映る純白のウェディングドレス姿の自分は、自分ではないようだ。


本番の予定がひとつもないのにこんな格好をするだなんて、俄には信じられない。

綺麗にセットしてもらった髪やメイクが崩れるのが怖くて、なかなか思うように動けない。

小さい頃、夢見ていたドレス姿なのに緊張しすぎて楽しむ余裕はない。
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