俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「本当にお似合いです。浦部様どうぞこちらに。板谷社長がヤキモキしてお待ちですよ」

朗らかに声をかけられて、恐る恐る足を踏み出す。


むき出しの肩に強い夏の陽射しが降り注ぐ。

幾重にも重なるレースが心地よい音をたてる。


ほんの数メートル先に人々に囲まれた愁さんがいた。

彼も私同様真っ白なフロックコートに身を包んでいる。

本物の王子様のように光り輝くその姿に思わず目を細める。


「沙和」


私に気づいた愁さんが、慌てたようにこちらに向かってくる。

その声と姿にドクン、と鼓動がひとつ大きな音をたてた。


「……綺麗でびっくりした」

私の正面で足を止めた愁さんが困ったような表情で言う。

耳が赤いように感じるのは気のせいだろうか。


「あ、ありがとうございます……でも愁、さんのほうが素敵です」

「ありがとう。……本当によく似合っている。このまま本当の結婚式をしたいくらいだな」

「か、からかわないでください……!」

「本気だぞ? 俺の妻は本当に可愛いな」


つ、妻って……!


衝撃的なセリフに呼吸が止まりそうになる。


「……模擬挙式、です」

必死に平静を装って言い返す。

私の声は震えていないだろうか。


「本当に手ごわいな。早く俺を好きになってくれたらいいのに。このままずっと独り占めをしていたいが、そうもいかなさそうだから撮影に行こう」

クスクス声を漏らす社長は相変わらず楽しそうだ。
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