俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
見る限り彼は服を着ているようだ。

広く逞しい背を私に向けて眠っている。

熟睡しているようですぐに起きる気配はなさそうだ。


もしかして、この人が私をここに連れてきてくれた?


記憶のない私が冷静にホテルの宿泊手続きをできるわけがないし、あの場所には彼以外誰もいなかった。


私、とんでもない迷惑をかけたんじゃ? 


なにより初対面だというのに、失礼な態度をとってしまった。


……ああ、もう、どうしよう。


パニックで震える両手をきつく胸の前で握りしめる。

ゆっくりと深呼吸をする。


落ち着いて。


何度も言い聞かせるけれど、鼓動はずっと早鐘を刻んでいる。


誰か、最善の方法を教えて。


情けなさと羞恥、少しの心細さに襲われる。

しっかりしなくてはと祈るような思いで薄暗さの中で目を凝らし、周りを見ると……どうやらここは、どこかのシティホテルのようだ。


見知らぬ男性と、ダブルベッドの上で眠っていた現実が痛くて重い。

暴れだす鼓動に、できる限り気づかぬフリをする。
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