俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
……念のためよ。


そう自分に言い聞かせ、握りしめていた布団を決死の覚悟でそっと捲る。


目に飛び込んできたのは、衣服を身につけた自身の身体。

ジャケットは脱いでいたけれどレンガ色のブラウスにスカート、ストッキングも履いていた。

ただしブラウスのボタンはふたつ外れていて、スカートは皺くちゃだ。

ストッキングに至っては、なぜか右の踵に大きな穴が空いて無残に伝染しているという散々な状態。


それでも服を着ている事実に、大きく安堵の息を吐いた。

きっとこの男性にとっては、失礼な確認だっただろう。

私をここまで運んで介抱してくれたのだろうから。


緊張しつつ、そっとベッドから降りる。

足に力が入らず転びそうになるのを必死にこらえる。

男性を起こさないよう、そうっと柔らかなカーペットの上に一歩を踏み出す。

ベッドの軋む音ひとつにも、ギクリと身体が強張る。


幸い、パンプスとバッグはクローゼットにきちんと置かれていて、ジャケットも丁寧にハンガーにかけられていた。


この人がしてくれたんだろうか。

本当に私はどこまで迷惑をかけたんだろう。


情けなさを通りこして申し訳なさが込み上げる。
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