俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
彼は言葉少ない私を訝しみながらも自宅マンションのエントランスまで送ってくれた。

別れの時間がやってくる。


今この場でドレスの件を教えてくれたら、きっと言い出せなかっただけなんだと信じられる。

ずっと帰りの車中で、そんな期待にも似た考えを抱き続けていた。


かりそめの婚約者だとわかっているのになんで私はこんなに気にしているんだろう。

落胆にも似た想いを抱え、それでも一縷の望みをかけて重い口を開く。


「……このドレスの色にはなにか意味があるの?」

「どうして?」

ゆっくりと口角を上げて尋ね返される。

はぐらかすのが誰より上手いのは知っている。

でも今はそうしてほしくなかった。


お願いだから、ちゃんと教えて。

正直に答えて。

今ならまだあなたを信じられる。


『板谷ホールディングスのイメージカラーで、婚約者に贈るドレスなんだ』


そう言われたなら、事前に教えてほしかったのに、と冗談交じりに文句のひとつもぶつけられる。

もしくは本気なのか、とときめくかもしれない。


「……皆になぜそのドレスを着ているのかと言われたから」

「皆って?」

「パーティー会場にいた人たち、皆さんです」

半ばイラ立ちながら言う。


……わかっているはずなのになぜそんな確認をするの?


「いや、ドレスに意味はないよ。見られていたのは、その色の組み合わせが板谷ホールディングスのイメージカラーだからじゃないか?」

「……どうして、この色を選んだの?」
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