俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「沙和を愛してる」


呼吸が止まる。

真っ直ぐ見つめてくる大好きな人が涙でうまく見えない。

泣きたいわけではないのに、目の前がどんどんぼやけていく。


「……私もあなたを愛してる……どうか、よろしくお願いします……!」


必死に言い募ると、こらえきれなくなった涙が頬を伝った。

ふわりと相好を崩した愁さんが、そっと私の両頬に大きな手を添えて掬い上げる。


「一生、大切にする」


そう言って長いまつ毛を伏せた愁さんの唇が私に重なった。

そっと触れ合うふたりだけの誓いのキスは涙と幸せの味がした。


「……沙和の話は館長からよく聞いてたんだ」


私を胸に抱き込んで髪にキスを落としながら、彼がおもむろに話しだす。

「親友の大切な孫で、若い女性にしては珍しく日焼けや土、虫を嫌がりもせずに熱心に手伝って話を聞いてくれるんだって、とても嬉しそうに話していた。その姿が新鮮でよく覚えていたんだ。ずっとどんな女性だろうって思っていた」

「城崎さんがそんな話を……?」

「それから沙和を知っていくたびに惹かれたよ。運命の出会いなんて言葉を柄にもなく信じたくなった」


真摯な声が耳に響いて胸が熱いもので満たされていく。

一旦止まりかけていた涙がまた溢れ出す。


「泣き虫」

困ったように眦を下げて、私の涙を唇で優しく拭ってくれる。
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