俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「私は頼子さんの役職も仕事内容も、一日のスケジュールも伺っていませんし、頼子さんの旦那様のご予定も存じ上げません。鍵を預かっていても庭園は私の所有物ではないので、入園許可をいただくのは当然だと思ったから連絡しただけです」

震える声で、すべてはただの偶然だ、と必死で弁明する。


しっかりしなさい。

仕事と同じよ、いつものように理路整然と落ち着いて意見を言うの。

おびえていたら疚しいことがあるのかと怪しまれるわ。


脆く崩れ落ちそうな心を必死で叱咤する。


「……お疑いなら、頼子さんに確認なさってください」

「もちろん確認した。ついでに言うなら本当に失恋したのか、片想い相手も確認してきた。虚言の可能性もあるからな」

小馬鹿にしたような口調で言われ、頬を叩かれたような衝撃を受けた。

必死に取り繕った心の仮面がボロボロ剥がれ落ちていく。


「濱田課長はこちらの店舗に勤務されている同期の女性と、二年間の交際の末に入籍なさったそうですね。浦部様に長年片想いの方がいるのは幾人かはご存知でしたが、名前までは把握されていませんでした」

突然背後から津田さんの声が響く。


機械のように正確に告げられたのは知りたくなかった事実。

教えられた真実に胸が軋んでいく。

目眩がして、目の前が真っ黒になっていく。
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