さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
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その日の午後、TOMITAホールディングスへ出向いたわたしは会議室に通された。

そして、富多副社長も出席の中、パワーポイント(パワポ)を使って社内外の法令遵守(コンプライアンス)に関するマニュアル改正のプレゼンテーション(プレゼン)(おこな)った。


この案件をまとめるにあたって、「次期」法務部長の茂樹とは徹底的にやりあった。

たとえ、部署内にブリザードが轟々(ごうごう)と吹き荒れようとも、お互いいっさい手を緩めることなく議論した。

たぶん、凍りついた一般の社員さんたちにとっては、シベリアの極寒地で「強制労働」させられている由々しき労働環境だったに違いない。

ただ、なんとしてもより良い「改革」をしなければならないという点では、わたしも茂樹も同じ方向性を向いていた。
(ただ、アプローチの仕方が両極に位置していただけで……)


十年一日のごとく変わらないあのマニュアルを見たときには、絶句した。

事なかれ主義な「現」法務部長のせいだけではなく、前任の担当者だった父も「法に抵触しない程度には整っているから大丈夫だろう」と見くびっていたのは明らかだった。

法律だって日進月歩だっていうのに。

それに、TOMITAのような世界を股にかけた大企業だからこそ、ほかの会社のお手本になるものにしておくのが法人としての「社会的使命」だと思う。

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