さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
プレゼンが終わったあとは、主に副社長による質疑が始まった。
——それにしても、この副社長、とんでもなく忙しい身だろうに、細かいところまで突っ込んでくるなー。
それだけ、よく勉強してるってことだろう。
少し癖のありそうなダークブラウンの髪に、目尻が上がったアーモンドのような形の色素の薄い瞳、すーっと通った鼻筋を待つ副社長は、超絶イケメンだった。
しかも、北欧スウェーデンの血が入ったモデルばりの長身だ。
だから、なにかと色眼鏡で見られがちだと思われる。
だからこそ、人一倍努力しているようだ。
それから、わたしの応答の際には、茂樹も補足説明に回り「援護射撃」してくれた。
(ちなみに、法務部の白石さんによると、彼は副社長とは対極の「和風イケメン」と社内では呼ばれているそうだが……)
彼とは昨日の朝以降、連絡すら取っていなかったが、あのわたしの「失態」後の「再会」が仕事の場であったのは、却ってよかったのかもしれない。
「……改革案はよくわかった。このまま進めてほしい」
手元のタブレットに送付されたデータファイルを最終確認した副社長が、ようやく断言した。
——よしっ、副社長からゴーサインが出たっ!
わたしは心の中でガッツポーズをした。
「それから……進藤弁護士には、また新たにお願いしたいことがあるのですが」
——えっ、なんだろう?
なぜか、会議のメンバーが「では、副社長お先に失礼します」と言って次々と退出して行く。
そして、あとに残ったのは副社長と茂樹とわたしだけになった。