さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
「あ、あの……もし、今までの法務部との契約とは別に結んでいただけるのでしたら……」
わたしは閃いた。
「うちの法律事務所に、IT案件に強い弁護士がおります。菅野という者ですが……」
「別件」として契約してくれるのであれば、なにもわたしでなくてもいい……
いや、むしろ専門外のわたしが外れた方が、TOMITA側にとっても有益なはずだ。
それに、同じ事務所の者が代わりに請け負うのであれば不利益が発生することはないから、きっと所長もなにも言うまい。
——我ながら、ナイスアイディーア!
心の中で、自分に向けてスタンディングオベーションだ。
「……菅野弁護士は超多忙な方で、あらゆる企業から引っ張り凧だと聞いておりますが」
だが、私の脳内の「拍手喝采」は、突然の茂樹の声によってバッサリと袈裟懸けにされた。
「あとから名乗りを挙げた弊社が、果たしてすんなりと引き受けてもらえるんでしょうか?」