さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
「……で、光彩先生、どういう用件で?」
依頼人が法律相談をするとき使うソファに、どかっ、と座った菅野先生が単刀直入に訊く。
「時短」をなによりも尊ぶ菅野先生らしい。
それにしても、彼からはまだ『光彩先生』と呼ばれるのが、こっ恥ずかしい。
うちの事務所では「進藤先生」と言うと所長である父のことを指す。
なので、わたしのことはみんな「光彩先生」と名前呼びする。
なのに、なぜ菅野先生から言われるとこっ恥ずかしいのかというと……
実は、菅野先生は司法修習生時代のわたしと茂樹の「教育係」だったのだ。
——あの頃は、『おい、進藤!』って呼ばれて
、しょっちゅう叱られてたもんなぁ……
思わず遠い目になる。