さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜
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鮮やかなロイヤルブルーであるにもかかわらず、透け感のあるやわらかシフォンが軽やかさを醸し出す、わたしのワンピ。

通りすがる人たちが男女問わずチラ見しているのが、視界の端でなんとなく(・・・・・)わかる。

今は、仕事のときに掛けているオーバルの眼鏡を外しているからだ。

いつも見ている風景よりも、ずっと色が薄くてぼんやりとしているが、だからこそ周囲の目を気にすることなく颯爽と胸を張って歩ける。

普段は歩き回りやすいようにローヒールだが、今夜はシルバーのピンヒールだ。
おかげで視界がいつもより一段高い。


わたしはヘアサロンがあるベリーヒルズビレッジのオフィスビル六階から、高層階用のエレベーターに乗った。

トリップアドバイザーの口コミで星の並ぶホテルが入る(フロア)をみるみるうちに駆け抜けて、ぐんぐん上昇していく。


やがて、チン、という軽快な音とともに、そのフロアへの扉が開いた。

目の前に広がるのは、五十四階の高級レストランエリアだ。

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