この男、危険人物につき取扱注意!

千夏は椅子に座ると、手を合わせ「いただきます!」と言っが、洗い物をしていて坂下には聞こえて無さそうだったので、千夏はもう一度大きな声で「坂下さんありがとう。いただきます‼︎」と言って食べ始めた。

(ん?…美味しい!)

「このお浸し美味しい!
お味噌汁も、出汁がきいててホント美味しい。
これ、誰が作ったんですか?」

「さぁ?食事当番の者だと思いますが?」
と、坂下は誰が作ったかは知らないと言った。

(そっか…当番があるんだ…?
交代制かな?それとも固定かな?
固定だったら、私は何当番になるのかな?)

などと考えながら食事をする千夏に、坂下が質問を始めた。

「どうして…」

「え?何か言いました?」

「何故、若に泣き付かなかったんですか?」

(組長の部屋での事…?)

「あ、先程はお見苦しい姿をお見せして、すいませんでした」(ホント恥ずかしかったなぁ)

「辞めたいと言えば、良かったのに?」

「え?」

「擬装結婚なんて辞めたいと泣きつけば、良かったじゃないですか?」

と言いながら、坂下は冷たい麦茶をグラスに注ぐと、千夏の前に置いた。

「あ、スイマセン…
チーフに泣きつくだなんて…そんな事私には出来ません。ましてや辞めたいだなんて…
チーフのやろうとしてる事が、ダメになるかもしれないじゃないですか?
そんな事、私には出来ませんよ」

「どうしてですか?」

「それは…
坂下さんは、組長さんに助けて貰ったんですよね?」

「え、ええ」

「組長さんに助けられたなら…組長さんに恩は感じてないんですか?」

「勿論、組長には感謝してます。
借金まで立て替えて下さったんですから、言葉じゃ言い表せられないほど感謝してます」

「じゃ、何故、組を解散しようとしてるチーフのそばにいるんですか?組長は反対してるんですよね?
この世界に入ったなら、組長の意に沿うように…
それが極道の筋ってモノなんじゃないですか…?」

(極道の世界なんて初めてだから、ボブおじさん家のビデオで見た知識しか無いけど…)

「確かに、極道(この世界)じゃ、組長は親も同然。ましてや命助けて貰った組長(おやっさん)の意に背く事は御法度です。
ですが、若には若の考えがあっての事ですから、私は若に命を捧げると誓った身、組長に何を言われようと、若について行きます!」

「私も、ある意味チーフに助けられた身ですし、会社を大切に思うチーフの気持ちはわかります。
だから、何がなんでも試合放棄なんてしません!
どんなに組長(あいて)に打たれても、竹刀だけは絶対落としません!
坂下さんにも、頑張るって宣言しちゃいましたしね?」と言って千夏は舌を出して笑った。




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