この男、危険人物につき取扱注意!

次に千夏が目を覚ました時には、繋がれていた点滴もいつの間にか腕から外されていた。

(あれ…外れてる…全然気がつかなかったなぁ…
今何時だろう…ん?)

そして、隣の部屋が騒がしい事に気がついた。

『これで組み立ては終わりましたが、置く場所は何方にします?』

『後はこちらでやりますから、もう結構です』

(…なにやってるのかな?)

『そうですか?
それでは失礼します。ありがとうございました』

坂下と数人の男との話し声がしたと思ったら、千夏の居る部屋の前の廊下を通り、母屋へと向かう数人の足音が聞こえた。

(…業者さん?)

『若、この辺りでどうですか?』

『ここは日が当たりすぎる』

『じゃ、こちらの奥に?』

『いや、ここはエアコンの風が直接当たるから良くない』

『じゃ、こっちにしますか?』

『…そうだな』

業者らしき者達が帰り、暫く春樹と坂下の話し声がしていたと思っていたら、急に物音も話し声もしなくなった為、気になった千夏は布団から出ると奥の部屋へと続く襖を静かに少しだけ開け、そっと覗く千夏は思わず息を呑んだ。

(え?…)

千夏が目にしたモノは、春樹が坂下の肩を抱く様にして二人が寄り添って居たのだ。

「若…」

「ああ、分かってる…お前も欲しいだろ?」

「分かってるなら…早く若のを下さい…」

「もう少し声を抑えろ、うさぎが目を覚ます」

千夏は、見てはいけないモノを見てしまったと思い、そのまま静かに襖を閉めた。

(…そう言う事…?
だから…チーフに女の影が無かったの?
私は、二人の関係のカモフラージュ…?
あっ!
そう言えば、坂下さんも“若一筋です!”って…
あれはそう言う事だったんだ…
坂下さんの態度がコロコロ変わってたのも…
姑の様な厳しさは、嫉妬?
優しかったのは、私への心苦しさ?
坂下さんの心揺れる男…女心?だったのね…)

これから行われるかも知れない二人の営みを想像したら、とてもとどまっては居られず千夏はそっと部屋を抜け出した。

「どうしようかな…外はまだ暑い様だし…」

部屋を抜け出したものの、草むしりを再開するにはまだ暑く、倒れたばかりの体では流石に無理があると思った千夏は、他に役に立てる事は無いか考えた。

「そろそろお昼の支度する頃だよね?ヨシ!」

千夏はお昼の支度を手伝いに台所へと向かった。





< 111 / 190 >

この作品をシェア

pagetop