この男、危険人物につき取扱注意!
再び千夏は暖簾をくぐり台所へ入ると、そこには昼食の準備を始めている若い男二人がいた。
(この二人が食事当番なのかな?)
「ご苦労様です。お昼の支度ですか?」
「えっ?…あ、はい!」
予期せぬ千夏の登場に二人は驚き、緊張しつつも返事をした。
「えーと…君達の名前…は?」
「自分は達也で、こいつは真司って言います!」と左腕に大きな火傷の痕のある男が答えた。
「達也さんと真司さんね?
良かったら、私にも何か手伝わせて貰えないですか?」
突然の千夏の申し出に二人は驚き恐縮していた。
「…あ…いえ、姐さんは奥でゆっくりしてて下さい」
「そうもゆっくりしてられないのよ…」
「え?」
(チーフとは偽装結婚…いや、まだ婚姻届出してないから偽装婚約?
だから、お客様気分では居られない。
それに、任務遂行のためには組長さんになんとか機嫌直してもらわなきゃいけないし…)
「ほら!
働かざる者食うべからず!って言うでしょ?
皆んなが働いてるのに、私だけがのんびりしてられないじゃない?」
「…でも…食事は自分等の仕事なんで…
そう言う事は若頭に相談して貰えませんか…?
勝手な事すると後で自分等が叱られますんで…」と言って達也が頭を下げると、真司も見習うかの様に頭を下げた。
「チ…春樹さんには後で私から話しておくから、今はお願い…この通りお願いします!」と、千夏は二人に頭を下げた。