この男、危険人物につき取扱注意!
達也はやんわり断ろうとしたが、どうしてもと千夏に食い下がれてしまい断る事が出来なかった。

「姐さん!頭上げてください!分かりましたから…」

(姐さんか…
本当に呼ばれるべき人は、坂下さんなんだろうなぁ…でも、男の人にも姐さんって呼ぶのかな?
まぁ、私には関係無い事だし、考えるだけ無駄だよね)

「何を手伝えば良いですか?」

「でも…本当に良いんですか?
姐さん具合が悪かったんじゃ…?
やっぱり奥で休んでいた方が良いんじゃないですか?

真司が心配そうな顔を向け千夏の体を気遣ってくれる。

「え?」(なんで知ってるの?)

「ぐったりしてる姐さんを抱き抱えた若頭が、坂下の兄貴を呼んびながら外から入って来たので…?」

(私を見つけてくれたのチーフだったんだ…
じゃ、名前を呼んだのも…?)

「どうしたのかと心配してたら、藪先生と坂下の兄貴が奥に入って行ったので、てっきり姐さんの具合が悪いのかと…」と言う真司。

「ヤブ先生?」

「組長の主治医で、隣町の診療所の先生です」

「診療所の先生…?」

「内科も外科も何でも診てくれる先生で、極道者(オレたち)のかかりつけの医者です」

(組長さんの主治医…?)

「…心配してくれて有難う。でも、私は元気だから大丈夫!」

「そうですか?
じゃ…そこに座ってこれをお願いします!」

頭を下げられ達也に渡された物は、新聞紙に包まれた絹さやだった。千夏はそれをテーブルに広げ、手際よくすじを取っていく。




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