この男、危険人物につき取扱注意!

(さっきまで…話し声がしてたのに…)

千夏は、自分がいる事で二人が緊張してる様に見え、少し雑談でもして二人の気持ちを和らげようとした。

「今朝の食事も達也さんと真司さんが作ったの?」

「え?はい…そうですけど…」

千夏が美味しかったと褒めると、二人は嬉しそうにしていた。
だが、野菜のお浸しが凄く美味しかったと言うと、達也だけは少し寂しそうな顔を見せた。

「…あれは…亡くなった姐さんのレシピ通りに作ってるんです。組長が好きなんで…」

(亡くなった奥さんの味を今も…)

「きっと喜んでますよ?
いつまでも自分の味を忘れないで居てくれて…
お二人が亡くなられた奥さんの味を忠実に作ってくれて、組長さんも幸せ者ですよ」

「いえ…組長が喜んで食べてくれれば、俺らはそれだけで…
でもあと…ぬか漬けが出来ると良いんですけど…」

「ぬか漬け?」

「はい。組長も若頭もぬか漬けが大好きだったんですけど…
俺達が姐さんの糠床をダメにしちゃって…
何度も挑戦したんですけど…
どうしても姐さんの味に出来なくて…」

(あーだからチーフが?
チーフのお母さんもぬか漬けやってたんだ?
でも、ぬか漬けって手が変わると味も変わるって言うからなぁ…
同じ味を作るのって難しいんだよね…
それに、新しい糠床だと直ぐには美味しく漬から無いからね…)

「あっそうだ!
亡くなった姐さん…組長の奥さんって、組長の事なんて呼んでたんですか?」

「え?」

突然、何を聞くのかと二人は鳩が豆鉄砲をくらった様な顔をして呆気にとられていた。

「あ、急にごめんなさい。
私の両親は今でもお互い名前で呼び合ってるんですけど、組長さん達ご夫婦も仲良かったみたいだし、やっぱりお互い名前なのかなって…?」

「二人の時は分かりませんけど、俺達の前では姐さんは組長って呼んでました。けど、それがなにか?」

「あーいえ、ちょっと気になっただけで、気にし無いで下さい。はい、こっちは終わりました」

(やっぱり…私も若頭って呼んだ方が良いかな…?
坂下さんだって、私がチーフを春樹さんって呼ぶの良く思ってないよね?)






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