この男、危険人物につき取扱注意!

昼食も終わり、台所で千夏はホッと胸を撫で下ろしていた。と言うのも、昼食のメニューの一品を千夏が作っていたからなのだ。
下ごしらえである絹さやの筋を取り終えた千夏は、他に手伝うことは無いかと達也に尋ねると、それならと絹さやの卵とじを作って欲しいと頼まれ、作る事になった。
絹さやの卵とじは、料理をした事がある者にとって、然程難しくはない料理ではある。味見を頼んだ達也には“美味しい”と言って貰えたが、組員(皆んな)が食べ終わるまで、千夏は心配で食事中組員(皆んな)の様子を伺っていた。
そして千夏は台所で、組長のお膳が下げられるのを待っていた。

(あとは組長さんだけ…食べてくれたかな…)

千夏の作った絹さやの卵とじを残さず組長が食べてくれるか心配で、お膳が下げられるまで千夏は気が気ではなかった。そして、下げられたお膳の空になった器を見て、千夏は心の中で拳を握って喜んでいた。

(ヨッシッ!)

「さぁ!」

千夏は洗い物をしようと流しの前に立ったが、真司に自分の仕事だからと言われてしまった。

「あー…それだったら私が洗うので、真司さんは拭いて食器棚へしまって貰えませんか?
私、まだ何処に仕舞うか分からないので?」

だが、達也からも同じ事を言われてしまい、千夏はどうしたら良いか困っていた。

(もしかして…私ジャマ?嫌われてる?
でも、どうしよう…?
他に居場所無いんだよね…チーフ達の邪魔になっちゃうし…)

食事が終わると、すぐに春樹は坂下を連れて奥の自分の部屋へと向かった。
それを見ていた千夏は、暫くは部屋に近付かない方が良いと思ったのだ。

「あの…邪魔はしないので、暫くここに居たらダメですか?」

「…別に俺達は構いませんけど…」

「良かった…」

千夏は椅子を端に寄せて座ると、スマホのメールチェックを始めた。
暫くすると、片付けの終わった真司が何か飲むかと声を掛けてくれたのだ。

(え?)

「コーヒーがお好きと聞いてますけど、良かったら淹れましょうか?」と達也が千夏に聞いてくれた。

「えっ良いんですか?」

「俺達も少し休憩しますんで、一緒にコーヒーでも如何ですか?」

1日に何杯もコーヒーを飲む千夏にとって、今まさに食後のコーヒーが欲しくて堪らなかったのだ。

「お願いします‼︎」

千夏が嬉しそうな顔をすると、二人はクスクスと笑い達也が棚からCoffeeと書かれた大きな缶を取り出した。

「もしかして、豆を挽いていれるんですか?」

「はい。俺達はインスタントコーヒーですが、姐さんには専用のコーヒー豆が用意されてますので!」

(私、専用…)





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