この男、危険人物につき取扱注意!

二人は春樹の部屋へ向かうと、パソコンで少しでも良いベッドをと検索始め、そしてキングサイズのベッドを購入した。

「そう言えば、うさぎの姿見えねぇけど…あいつどこ行ったんだ?」

「そう言えば見ませんね?」

「え…まさか…出てったのか?」

「それは無いと思いますよ?
最後まで成し遂げると言ってましたから」

(ああ、それは俺も聞いてた。
でも…)

「もしかしたら…」と言う坂下。

「どうした?」

「庭に居るんじゃ…」

坂下のもしかしたらと言う話に、春樹は慌てて外へと飛び出した。
一歩外へ出ただけで、ギラギラと照りつける真夏の太陽はジリジリと肌を焼いた。

「あっちぃ…
この炎天下に外に出てるとマジで死ぬぞ?
千夏どこだ⁉︎ 千夏!返事しろ千夏!」

千夏の名前を呼びながら庭中を探す春樹は、やっと庭の隅で草むしりをしてる千夏を見つけた。

(このバカ…
心配させやがって…)

「うさぎ」

後ろ姿だけでも尋常じゃ無い汗をかいてる千夏に、驚いた春樹は呼び掛けると同時に手を差し伸ばしていた。

「千夏?」

春樹の呼びかけに気付き、振り向きざまに立ち上がろうとした千夏は、既に虚な目になっており春樹の方へと倒れ込んで来た。

「おい、しっかりしろ!
坂下!坂下‼︎ 直ぐに藪を呼べ‼︎」

春樹は千夏を抱き抱えると、大声で坂下を呼びながら慌てて屋敷へと入った。

「若、どうし…」

即座に状況を把握した坂下は、医者に連絡すると、袋に氷を入れた物を春樹の部屋へと運んだ。

「若、これを千夏さんの脇と太腿の付け根の辺りに置いて下さい!」

坂下はそう言って春樹に氷の入った袋を渡し、自らの手でも千夏の首の横に置いた。

「藪はまだか⁉︎」

「見てきます‼︎」

坂下はそう言うと慌てて部屋を出て廊下を走って行った。






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