この男、危険人物につき取扱注意!
「お前って、普段は同僚のちょっとして体調の変化や違いも見逃さず、繊細な配慮や気遣いも出来る癖に、こう言う事に関しては鈍感過ぎるところあるよな?」
「え?」
「嶋田の事もそうだぞ?」
(嶋田君がなに?)
「嶋田は、俺じゃなくてうさぎの事が好きなんだぞ?」
「えっ⁉︎」
「俺を見てるっていうより、うさぎを見てる俺を、いつも睨んでただけだ。
本当鈍感過ぎるのも罪だぞ?」
「嘘っ⁉︎」
「あいつも可哀想にな?
俺に勝てなくてさ!
まぁ今度飲みにでも連れて行って慰めてやるか?」
(嶋田君が…私を好き…?
全然気が付かなかった。てっきり…)
「…ん? いま勝てなくてって言いました?」
「ああ、言った」
「まさか…私の事で、嶋田君と勝負とかしてませんよね⁉︎」
「俺は何も言ってない。
彼奴が勝手に敵対心剥き出しにしてただけだ。
だが、結果としてうさぎは俺と結婚したんだから、俺の勝ちだろ?」
千夏は大きく首を振り“違う‼︎”と言った。
「あれは、互いの利益の為に偽装結婚って事だったじゃないですか⁉︎」
「じゃ、俺より嶋田の事が好きだって言うのか⁉︎」
「好きとか嫌いとかじゃなくて、私は自由に恋愛がしたいんです!
それに、まだ組長さんのサイン貰って無いから、役所にも出して無いし!」
「いや、今朝もらってここへ来る前に出して来た!」
「っえー⁉︎ 組長さんにサイン貰えたの…?
それを勝手に出しちゃったんですか⁉︎」
「これで、めでたく俺達夫婦になったって事だ!」
(全然めでたくなんか無い!
巫山戯ンナ‼︎
こんなの認めない!)
「これは受け取れません!
婚姻無効の訴えを起こします!」
千夏は、イヤリングを春樹へと突っ返した。
「別に構わないが、多分うさぎに勝ち目はないぞ?
お互い合意の上でサインしたんだからな?」
「う゛……」
婚姻届にサインする際の話を坂下に録音されていた事を思い出し、何も言葉が出なかった。
「組員も哀しむだろうなー?
特に真司と達也は?
随分うさぎに懐いていた様だし、病んでるオヤジも心労で逝っちまうかもな?」
「ちょ、ちょっと!
組長の事出すの卑怯‼︎」
「じゃ、コレ!」
千夏が突っ返したばかりのイヤリングを受け取れと、春樹は差し出した。
(私は恋愛して結婚したいの!
お父さんやお母さん達みたいな結婚がしたいの!)
「もう知らない‼︎」
千夏は怒りを露わに、社長室を出て行った。