この男、危険人物につき取扱注意!

千夏は、嶋田と伊藤美咲の二人に挟まれ居心地の悪さを感じていた。

(チーフがあんな事言うから…なんか緊張する…
昨日までは、嶋田君の事気にもして無かったけど…
あんな事、聞いちゃったから意識しちゃって…
なんか落ち着かない。
会社では隣の席に居ても、こんなに近く無いから…
この触れそうで触れない距離…ホント緊張する。
足も崩したいけど、崩すと彼に触れそうで…)

「嶋田さん、嶋田さん!」

「ん?」

千夏越しに嶋田を呼ぶ伊藤美咲に、嶋田は千夏を覗き込む形で返事をした。

(うっわ!)

「嶋田さんって、千夏さんの事好きでしょう?」

(は?こんなとこでなっナニ聞くのよ!この子は‼︎)
「いっ伊藤さん!あなた酔ってるの⁉︎」

「全然酔ってませんよ!私、お酒強いですからこのくらいじゃ全然酔いません!」

「どうなんですか嶋田さん?」

(もぅしつこいってば!)

伊藤美咲の再びの呼び掛けに、嶋田は“うん、好きだよ”と軽く答えた。

(えっええええ⁉︎)

「チーフも、千夏さんの事好きだと思うんですよね?」

(えー!なんであんたが知ってるのよ⁉︎)
「わっ訳の分かんない話ししてないで、伊藤さんの彼氏ってどんな人?」

「彼ですか?優しくて、凄くカッコ良いですよ!
嶋田さん、恋敵が上司ってどうなんですか?
それも、あの鬼チーフですよ?」

何とか話を変えようと目論んでみた千夏だが、結果は敗北に終わった。

(駄目か…)

「相手が、チーフなら尚更闘志が湧くかな?」

(えー…とっとと闘志が湧く⁇)

「だそうですけど、千夏さんどうします?」

(どどどうしますって…どうどうしたら…)

美咲の問い掛けに、既にテンパってしまってる千夏に追い討ちをかける様に嶋田が“どうします?”と千夏の顔を覗き込んだ。

「キャッ!」

驚く千夏を見て、嶋田と伊藤美咲は大笑いした。

「もう!二人して、先輩を揶揄うもんじゃありません!」

千夏はそう言うと、照れを隠す様にレモンサワーを一気飲みした。
グラスをテーブルに置いた千夏の顔は、うっすら赤く火照っていた。

(ふー…あっつー)

この千夏の火照りはアルコールのせいか、それとも嶋田達のせいなのか、千夏は顔の火照りを鎮めようと右手で煽って居ると、嶋田は千夏の耳元で“僕は本気ですよ”と囁いた。

(えっ⁉︎…)

嶋田の思わぬ囁きに火照りは増すばかりで、千夏は真っ赤になった顔を更に両手で煽いでいた。
一方の嶋田はと言うと、してやったりと言わんばかりに微笑んで、反対側へと向きを変えた。




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