この男、危険人物につき取扱注意!
秦が待って居るなら、のんびりコーヒーなど飲んで居られないと思い、折角持って来てくれたが、コーヒーは戻ってから飲むと春樹へ告げ直ぐに出掛けると言った。
それを聞いた春樹は、秦に連絡するから少し待つようにと千夏へ言うと携帯電話を入れてる胸ポケットへと手を入れると、ちょうど着信音が鳴り春樹はそれに対応した。
「ああ、俺だ。
…いや、今から会社へ向かうところだ」
(誰からだろ…?)
秦を待たせては悪いと思った千夏は、春樹の電話が終わるのを待たずに急ぎ玄関へと向かった。
千夏が靴を履き玄関ノブに手を掛けたその時、突然鍵が開く音がしドアが開いたのだ。
(え⁉︎…だれ?)
ドアが開いたそこには、若い女が立っていた。
予期せぬ出来事に千夏が驚いて居ると、その女は千夏に向かって“あなた誰?”と聞いた。
(あなたこそ…)
千夏が黙って居ると、こんどは“ここ春樹さんの部屋よね?”と聞いた。
(春樹さん…ですって?
なにが、誰も連れて来た事ないだ⁉︎
嘘つき!鍵まで渡す女がいるじゃ無い⁉︎
それも、こんなに若くて綺麗な女が‼︎)
「チーフ‼︎
お邪魔しました‼︎」
千夏は奥で電話をしていた春樹に叫ぶと同時に、手に持っていたカードキーをその女の胸に叩きつけ“ごゆっくり!”と言うと、玄関を出て右奥の非常階段を駆け降りて行った。
(馬鹿ヤロー‼︎嘘つき‼︎
チーフなんか大っ嫌い!)
1階へと下りた千夏は、マンションロビー前に居る秦の元へと行くと、秦から借りた携帯電話を返しそのまま駅へと歩き始めた。
「お前なんで…
ちょっちょっと待て‼︎
お前何処行くんつもりだ⁉︎
戻って車に乗れ!」
「いえ、送って頂かなくても結構です!」
「はぁ⁉︎若に言われてるだろ⁉︎」
「その若様は大変お忙しい様なので、盾の秦さんはここでもう暫く待っててあげて下さい!」
千夏はそう言うと、秦の手を振り払い走り出した。
「おっおい‼︎」
秦の呼び声に振り返ることなく、千夏は駅へと走って行った。