この男、危険人物につき取扱注意!

逃げて行く幸助の姿を梨華は笑い、京子は“もう時効なのに”と言いながらそのまま梨華の隣に座ると、“あの話よね?”と梨華に聞いて恥ずかしそうに話し出した。

「私、ずっと幸助に片想いしてたの。
幸助がひとり外国へ行っちゃった時も直ぐに追いかけたかった。
でもね…ただ追いかけても幸助は振り向いてくれないと思ったの…
当時、幸助には付き合ってる彼女が居たし…
でも、いつかチャンスがあるかもしれない。その時、彼の隣に立っても恥ずかしく無い女になろうと思って必死に努力してたらそのチャンスが訪れた。
思いがけない再会だったけど、神様が与えてくれたチャンスだと思って、どこか寂しそうだった幸助を酔わせて襲っちゃった!」

(酔わせて襲っちゃったって…え?…京子さんが⁉︎…えっー‼︎)

「事が済んで我にかえった幸助、自分は全然悪く無いのに凄く責任感じちゃって…“両親と小姑もついてくるけどいいか?”って聞いてくれたの!ウフフ」

(そ…それがプロポーズの言葉?)

「指輪は?」

千夏の問いかけに京子は首を振った。
だが、とても嬉しいそうにこう答えた。

「指輪なんて無くても幸せだった。
代わりにおたまじゃくし貰ったからね!」

(おたまじゃくし…?おたまじゃくしぃー⁉︎
そっそれって…せっ精子⁉︎)

京子の話に驚きはしたが、恥ずかしそうに話していても何処か嬉しそうな京子の姿に、千夏は少し羨ましさを感じて居た。すると今度は、梨華がプロポーズされた際の本当の話を聞かせた。

「えっ嘘っ⁉︎パパ…お父さん片膝ついてプロポーズしたんじゃ無いの⁉︎」

千夏は梨華の話が信じがたく、何度も“本当⁉︎”と聞いた。

「漫画やドラマじゃないのよ?
片膝ついて“結婚して下さい”なんてナイナイ!
日本人男性のどれくらいが、“愛してるから結婚して下さい”ってプロポーズするかしら?
恭子なんて、まともな言葉もなきゃ、指輪も無かったんだから!
婚約指輪の代わりは名札で、愛の告白は“一生働いて貰う”だったんだから!
…あ、噂をすれば恭子からだわ」
と言って、かかって来た電話に梨華は出た。

(あの恭子さんが…ダイヤの指輪じゃなくて名札?
愛の告白が一生働け…? 嘘でしょ…?)

学生時代からの友人深田恭子からの電話に、梨華は楽しそうに話していた。
そして、最後に“心配しなくても大丈夫よ!でも、心配してくれて有り難う”と言って電話を切り再び話を始めた。

「でも、千夏がドラマの様なプロポーズを望んでるなら、…そうねぇ〜イタリアの男性かしら?
イタリアの男性はとても情熱的って言うでしょ?
でも、そうなるとイタリアに移住しちゃうのかしら?
ママ寂しくなっちゃうなぁ…こうして女子話も出来なくなちゃうし?
他にもなにか問題?」

梨華の話に千夏は呆気に取られ、暫く言葉が出て来なかった。

(私が間違ってたの?夢見すぎてた?
でも…彼女の事だけは許せない!
彼女の為にも許しちゃダメだと思う!)
「プロポーズの事は百歩譲っても、彼には他に女の人いるだよ⁉︎
凄く若くて綺麗な人が居るんだからね‼︎」

「えっ、ちーちゃんそれ確かなの⁉︎」

京子は千夏の話に驚き、心配そうに梨華を見た。
だが、梨華は笑って首を振った。

「絶対そうなの!
彼のマンションの鍵だって持ってたんだからね!」

頬を膨らませる千夏を京子はクスクスと笑い、“やだ血は繋がってなくても似るものなのね?”と梨華に言うと“ホントね?”と言って梨華も笑った。

(え?)







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