この男、危険人物につき取扱注意!
そんな二人の姿をいつも見ている同じ部署の女性陣は面白く思っておらず、千夏にいつも冷たい眼差しを向けていた。
「チーフ…
もう少しモテるって…自覚してくれませんか?」
女性陣の熱い視線を一身に受ける木ノ下の事を、妬む男性社員も少なく無かった。
3、4年程前になるが、木ノ下が肌を見せない理由は、身体に刺青を入れているからではないかと、噂をする者がいた。
そして、その噂に輪をかけたのが2年前の事である。社へ差桜良朱音と言う綺麗な女性が訪ねて来て、男に纏わり付かれ困っていたところを、木ノ下に助けて貰ったとお礼に来た事があった。
二人の話を盗み聞きしていた男性社員が、木ノ下が裏社会の人間と繋がってるかの様な噂迄流したのだ。
普段から威圧感を丸出しにし、人を寄せ付けない木ノ下への噂を信じる者は多く、噂は直ぐに会社中に拡がる事となり、木ノ下に言い寄っていた女性陣は大人しくなり、木ノ下へ無闇に近寄る者がいなくなり、それが功を奏し彼の放つオーラも少しづつ変わって来ていた。
だが、ひょんな事から副社長と木ノ下が親しい関係だと知ると、男性陣は今のままでは出世に関わると思ってか、媚を売り木ノ下へ取り入ろうとする者も出て来た。
女性陣に至っては、以前にもまして木ノ下へのアプローチが酷くなり、木ノ下は再び威圧感を纏う様になってしまった。
だが、千夏だけは皆んなと違い、木ノ下に刺青の噂が流れた時も『馬鹿な事を!』と、噂する者を叱責し、裏社会の者と関係が有るのではとの噂が出た時も、噂を信じる事も無く、木ノ下を少しも恐る事はなかった。
副社長との関係に於いても、同じ大学の先輩後輩の仲だと言う事は、以前から木ノ下から聞いて千夏は以前から知っていた。
だからと言って木ノ下を通し、副社長へ自分の対偶を願ったりはしなかった。