この男、危険人物につき取扱注意!
まだ、何か言い足りなさそうな木ノ下に、千夏は顔の前で手を振り、絶対無いと強調して見せた。
「ないない!
チーフと私が結婚なんて…
あー可笑しい。冗談はもうやめましょう?」
木ノ下は周りに聞こえない様に小声で話していたのだが、有り得ない話に千夏が大きな声で笑い、“結婚”と言う言葉まで口にした為、ふたりは部署内全ての視線を浴びる事となっていた。
(やばっ…
皆んなが見てるよ…
最近チーム内の雰囲気が良くなって来てたのに…
これじゃ…また逆戻りになる)
だが、千夏の意と反して木ノ下は「俺は、本気で言ってるけど?」と言うので千夏は呆然とした。
だが、直ぐに気を取り戻した千夏は、
「分かりました。分かりましたって!
冗談はそのくらいにして、さぁ、仕事しますよ!」と言って、千夏は仕事を再開した。
(これ以上話してると、マジでシャレになんない。
もう既に女性陣の目がヤバくなってるじゃん!)
二人は既に周りからの注目を浴びており、女性陣からは千夏を中傷する声さえ聞こえ始めていた。
「チーフ?
チーフに好意を寄せてる女性陣は多いんですよ?
発言にはくれぐれも気をつけて下さい!」と、言い千夏はタイピングの音を奏でた。
「ん? 言ってる意味が分からんが?」と言う木ノ下に、千夏は手を止めると「もういいです! 兎に角、私の仕事の邪魔だけはしないでください!」と強い口調で言った。
(冗談じゃ無いわよ!
また、妬まれるじゃない!)
千夏はコーヒーを飲み干すと、その紙コップを “グシャリ”と握り潰しデスク側のゴミ箱へ投げ入れ、仕事を再開したその時、デスクに置いてあった千夏のスマホが再びバイブし着信を知らせたが、千夏は相手を確認しただけで拒否ボタンを押した。すると今度は、デスクの電話が鳴ったのだ。