この男、危険人物につき取扱注意!
「このコーヒー美味しい…」
(冷める前に飲めば良かったなぁ…
良い香りしてたのに…)
「何処の豆ですか?」
(チーフに聞いても、きっと分かんないかな?)
「確かインドネシアの豆で、シベットコーヒーって言ったかな?」
「えっ⁉︎
コピルアック⁉︎」
(嘘っ…うぇ゛ジャコウネコの糞じゃん…)
「ん?あーそれ美味いらしいな?
まだ飲むなら坂下に持って来させるぞ?」
(高価なコーヒー豆なのは知ってるけど…
ウンコのコーヒーなんて…早く口直しがしたい…)
「チーフ、出来たら…インスタントコーヒーでも良いので、ふつうの…普通のコーヒーを頂けませんか?」
「うさぎの為に買いに行かせたんだが、なんだ口に合わなかったか?」
「だって、チーフ!
これネコの糞のコーヒーですよ??」
「ネコの糞って…クソの味でもするのか?
コーヒーの事はよく分からんから、“ 一番高い豆を買って来い ”って使いに出したんだが?」
「ええ、高価なのは良く知ってます!
有名ですから!
でも、でもですね⁉︎
ネコの糞と知ってて飲めます⁉︎」
(無理!あぁ気持ち悪くなってきた…)
「早くチーフ…口の中のウンコ…どうにかして…」
酷い顔をして見せる千夏。
それを見た木ノ下は直ぐに坂下に電話をかけ、違うコーヒーを持ってくる様に伝えた。
「さぁ、コーヒーが来るまでの間に、こちらも済ませてしまおうか?」
木ノ下はそう言うと、内ポケットから薄っぺらい紙とペンを取り出すと、千夏の目の前に置いた。
(本日、2度目となるこのシュチュエーション…
本当にサインして良いのだろうか…?
私、チーフに騙されてない?大丈夫か…?
そりゃー、チーフが言うように時間稼ぎにはなるけどさ…?)
なかなかペンを持とうとしない千夏に、痺れを切らした木ノ下は、千夏の手に無理やりペンを握らせた。
「…あのー…チーフ?
ちょっと強引では…ないでしょうか?
私、まだ…」
「杯交わしておいて、今更グズグス言ってんじゃねぇ⁉︎」
(え…? 急にどうしたの? 杯ってなに?)
「さ、杯って、な、なんの事ですか??」
「取引き成立、夫婦の杯だ!
さっさと、ここにサインしろ!」
木ノ下の、今までに見た事の無い威圧感丸出しにする姿に、千夏は体を震わせ怯えていた。