この男、危険人物につき取扱注意!
「私を脅すとは良い度胸してますね?」
低い声で睨みを利かす坂下に、千夏は小さくなり “すいません” と謝った。
「脅したつもりは無いんですよ…
あっでも、盗聴の事は、チーフには絶対秘密にするって約束します!」
「声が大きい!」
「すいません…
あの…私、今夜はどうしたら良いんでしょ?
着替えも無いですし、一度家に帰っても良いですか?結婚した事も、家族に報告しないといけませんし?」
「ご実家には、“具合が悪くなったので当方の方で、暫く面倒をみさせていただきます”と若の方からご連絡させて頂いております。それから着替えはこちらに」と言って、千夏のお泊まりセットの入った鞄を坂下は差し出した。
「え?あ、有難うございます。(いつの間に)
でも…」
「トイレは部屋を出た右の突き当たり、入浴されるのでしたら、浴室にご案内しますが?」
「あ、お風呂は大丈夫です…あの…」
「今夜は組員飲み明かすと思いますので、下手に表に出ようとしない方が良いと思いますよ?」
(それは…逃げるなって脅してる?)
「いや、さっきも言いましたが、逃げませんって!
ただ、このまま秘密にして置くのもどうかと思いますし?」
「結婚の事については、若からご両親へ連絡させていただいております」
「えっ⁉︎ な、なんで⁉︎
それって…私が偽装結婚するって決める前ですよね⁉︎」
「…私はもう休みますので、呼びかけてもらっても対応致しませんので、そのおつもりで!
あーそれから、うちの荒くれ者は酔うと何をするか分かりませんから、不用意にこの部屋から出ない方が良いと思いますよ?
私はちゃんと忠告しましたからね?」
(それは…組の人は酔っ払ってるから、襲うかも知れないって事…?)