この男、危険人物につき取扱注意!
脅しとも取れる千夏へ助言を残し、坂下は部屋を出て行った。
残された千夏は母屋から聞こえて来る騒ぎ声に、坂下の残した言葉を思い出していた。
『荒くれ者は酔うと何をするか分かりませんから、あまりこの部屋から出ない方が良いと思いますよ?』
「………早く寝よ!」
春樹の寝てる布団と並べて敷かれてる布団を部屋の隅まで離し、千夏は布団の中へと入った。
「おやすみなさい」
だが、普段ベットで寝てる千夏は、畳の上に敷かれた布団ではなかなか寝付けない様で、もう聞いていない筈の坂下に話しかけていた。
「坂下さん、もう寝ちゃいました?
……なんで私なんでしょう?
いくら、兄達の事があって都合良かったにしても…
もっと適任者が居たと思うんですよ…?
坂下さんはどう思います?
秦さんが言った様に、私って綺麗じゃないし…胸もある方じゃ無いし…子供みたいだし…
もっとスタイルが良い人の方が、チーフに釣り合うと思うんですよね?秦さんが言ってた様に…
勿論、チーフには恩は有りますし、少しでも力になれるなら良いんですけど…
あっ私とチーフの出会いって、チーフから聞いてます?
実は、私の恩師である教授の紹介だったんですけどね?
お茶請けに出したぬか漬けを…クスクス…
チーフ、しかめっ面で美味しそうに食べたんです…クスクス
一見、美味しそうに食べてるなんて見えないのに…
何故か、私にはそう見えたんですよ?
どこがどうって聞かれても、自分でも分からないんでけど…
自分の漬けたぬか漬けに、自信があったからですかね?…ウフフ。
あ、ぬか漬けは、恩師の為に教授室で私が漬けてたヤツだったんです。
チーフ、その恩師に頼まれて、仕方なくDOYに入社させてくれたみたいなんです。
あっ、ぬか漬けのお礼だったのかな?…アハハハ
チーフがしてくれた事、それだけじゃないんですよ?
私が就職する事を、反対してた兄達の事も説得してくれたりして…
まともにパソコンも触れなかった私に、一から仕事教えてくれて、チーフが居なかったら私どうなってたか…ぬか漬けのお礼としたら高くつきましたよね?
…だから、私がんばりますね?
チーフのお嫁さん役?
それにしても、今夜は暑いですね…?」