極上弁護士の耽溺プロポーズ
「覚えてないのか。大学一年のとき、光希が俺に言ってくれたこと」

数年前の記憶を呼び戻す。

「……あ、わたしがキャッチセールスに捕まって、高額のお化粧品を売りつけられそうになったときのこと?」

柊一くんは頷いた。

大学時代、わたしは街中で大して価値もない化粧品を高額で売りつけられそうになった。

声をかけられ、何時間も粘られて根負けしてしそうになったのだ。

そのとき被害に遭う一歩手前で助けてくれたのが柊一くんだった。

「柊一くんに相談してなかったら、わたしは学生の身で多額の借金を抱えてたよ。今思い出してもぞっとする」

「光希は素直で騙されやすいからな」

「単に根負けしただけだよ。そういえばあのときわたし柊一くんに、柊一くんは絶対弁護士に向いてるって言ったね」

「ああ」

「わたしがああ言ったから弁護士になったの?」

「違う、そのあとの言葉だ」

「そのあと?」

わたしはそれ以上のことは覚えていなかった。
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