極上弁護士の耽溺プロポーズ
マンションの玄関扉が背後で閉まった途端、柊一くんはわたしに覆い被さってきた。

「着いたぞ」

「つ、着いたけどっ」

「……キスは?」

ずいっと顔を寄せられた。

わたしはその性急さに慌てふためいてしまう。

昼休みから、柊一くんが積極的すぎる。

「ま、まだ靴も脱いでないじゃない」

「光希が焦らすからだ。もう待てない」

「……っ」

あのあと午後になると柊一くんのお父さんが弁護士会館から戻ってきて、わたしはひさしぶりに顔を合わせた。

挨拶をするととても気さくに接してくれ、わたしの緊張は一瞬で解けた。

柊一くんのお父さんは、見た目は柊一くんとよく似ていて、中身は穏健派の弁護士といった感じだ。

顧問をしている会社に出向く前に「せっかく光希ちゃんが来てくれてるんだから今日は早めに上がればいいよ」と言ってくれ、柊一くんの残りの仕事を引き受けてくれた。

けれどわたしはまっすぐ家に帰ろうとはせず、柊一くんを外食に誘った。

創作料理のダイニングで食事を終えたのはつい二十分前のことだ。

腕時計は午後九時を指している。

「光希……」
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