極上弁護士の耽溺プロポーズ
「あ、これ、お見舞いだよ」

マリコはわたしに有名菓子店の紙袋を差し出した。

「わあ、ありがとう。検査結果に異常がなかったら、すぐ退院できるって」

「そっか、よかったね。……あんなことがあったばっかりだし、心配したんだよ……」

「……あんなこと?」

マリコの言った意味がわからなくて首を傾げると、マリコはわたしに哀れみをかけるような作り笑いを浮かべた。

どう続けて話せばいいのか困ったような表情だ。

わたしはなんのことだか全く見当がつかなかった。

「てかほんと、こんなイケメンな幼なじみが光希にいたなんてびっくり」

けれどマリコはすぐに話を変えて、柊一くんを振り返った。

「人気俳優でも加賀さんよりイケメンってそうそういないですよ」

「さすがにそれは褒めすぎです」

柊一くんは苦笑いしたけれど、確かにテレビを見ていても柊一くんよりかっこいい人にはなかなか出会えない。

「わたしは入社したときに、光希と同じ部署に配属になって」

目配せしてきたマリコのあとを、わたしが続ける。

「そうだね。それからもう一年の付き合いだね」

けれどマリコは突然、眉根を寄せた。

「……え? 光希、今なんて言った?」

「え? ……もう一年?」

「……二年でしょ?」
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