白雪姫に極甘な毒リンゴを 2 (十環の初恋編)

「ん?」


 真ん丸で透き通った瞳が
 俺を見つめている。


 か……

 かわいい!!


 かわいすぎる!!


 ど……

 どうしよう……



 倒れそうになったとはいえ
 いきなり肩を掴んじゃって
 明らかに不審者だよね? 俺!!


 一気に恥ずかしくなって
 肩に置いた手をサッとひっこめた。


 その時
 まるでガラスのように澄んだ声が
 俺の耳に届いた。


「もしかして…… 私……

 寝てた?」


 まだ、おねぼけさんみたいに
 目をこすっている。


 この寝ぼけて
 フワフワしているところも
 キュンってくるんだけど……


「え……と……

 寝ているあなたが倒れそうだったので
 とっさに支えたというか……

 下にいたら
 急にキャラメルが落ちてきて……

 それで……」


 上目づかいで俺を見つめる大きな瞳に
 ドキドキさせられていて
 俺、何をしゃべっているのか
 わかんなくなってるし。


 その時
 花がほころぶように
 眠り姫は優しく微笑んだ。


「私が倒れないように
 支えてくれたんだね。

 ありがとう」

 笑って、目じりが下がる表情も
 かわいくてしかたがない。


 俺はいつの間にか
 この眠り姫の魔法に
 かかってしまったらしい。


 俺に見せる表情の一つ一つに
 なぜか胸がキュンとする。

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