しあわせ食堂の異世界ご飯6
 何度か転んでしまったのか、リズの服は汚れが目につく。
 そしていつもしあわせ食堂へくる際に着ているものとは違い、きちんとしたドレスなので違う意味でも目立ってしまう。
 アリアはリズが公爵家の令嬢だと知っているが、カミルたちは富豪の娘だと思い込んでいるからだ。
「はぁ、はっ……アリアお姉さまっ!」
「落ち着いて、リズちゃん。なにがあったの? ゆっくりで大丈夫だから、順番に話してみて」
 なにが起こっているのか聞かなければ、さすがのアリアも対処のしようがない。けれど、助けを求めてきてくれたということはわかる。
 もう一度水を飲み、深呼吸をしてからリズは口を開いた。
「パパが毒を飲んでしまったの! でも、助けられなくて……アリアお姉さましか、頼れる人がいなくて……っ」
 ぶわあと、リズの瞳から涙がとめどなくこぼれた。今までずっと我慢していたものが、あふれ出してしまったのだろう。
(ライナスさんが毒!? しかもほかの人は助けてくれない!?)
 いったいどういうことだと叫びたいのを我慢しつつ、しかしアリアとて医者ではないので診ることはできない。
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