しあわせ食堂の異世界ご飯6
 リベルトの執務室。
 立っているのはリベルトとローレンツのふたりで、ライナスは奥歯に仕込んだ毒を飲み込み床に倒れている。
「まさか自分に毒を仕込んでいるとは思わなかったな」
「使う専門だとばかり思っていましたからね。……ですが、父親を助けるように泣きわめくリズベット様は可哀相でしたが」
 リズベットはライナスに罪を償ってほしいと思っていたが、その責任を取って死んでほしいとは思っていなかった。
 そのため、ライナスが毒を噛みくだいて倒れたと知ったときは悲痛な叫びをあげ、早く助けるようリベルトとローレンツに助けを求めたのだ。
 しかし、その答えは否。
「ライナスはいけすかない男ではあったが、娘や家族への愛情は本物だったということだな……」
 ぽつりともらしたリベルトの言葉は、確かにライナスのすべてを物語っていた。
 このまま裁判となれば、ライナスの罪は家族にも及ぶ。
 けれどここで己の罪を償うために自害すれば、家族への罪は比較的軽いもので済むだろう。
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