しあわせ食堂の異世界ご飯6
 リントに抱き上げられたまま集まってくれた人たちを見ると、みんなが幸せそうな表情でアリアを見ていた。
 名前を知っている人はほとんどいないけれど、顔を知っている人はかなりの人数だということに気づく。
(そうだ、みんなしあわせ食堂に食べにきてくれたお客さんだ)
 ここにいるほとんど全員が、アリアの料理を食べて、そして祝福しに足を止めてくれたのだ。
「私、ここで料理人をさせてもらってたの。カレーを作ったり、ハンバーグを作ったり。今はもう、作ることなんて簡単にはできないけど……それでもしあわせ食堂には美味しいご飯があるから。これからも、食べにきて。私も、これたら……」
 ――きたい、と。
 そう言っていいのだろうかと、リントの顔を見る。
「別に構わない――が、アリアがしあわせ食堂の厨房に立つなら、俺も食べに行く」
「リントさん……」
 これからは皇妃としての仕事が忙しくなるため、月に一回も行けるかはわからない。それでも、簡単にいいよと言ってくれることが嬉しい。
 ジェーロに行ったらもう二度と料理はできないかもしれないと、最初はそんな覚悟すらしていたのに。
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