しあわせ食堂の異世界ご飯6
「う~、そうだよな。俺も料理ができるようになったとはいえ、まだまだだし。将来の目標にすればいいか」
 将来的に、しあわせ食堂をもっと大きくして、並んだ人全員が食べられるような定食屋にしたい! そう思っているようだ。
「でも、そうすると今の店じゃ狭いんだよな。でも、この場所は親父との思い出もあるから手放したくないし……」
 グラタンの下ごしらえをしながら、カミルは本気でどうするのがいいか考え始めてしまった。
 幸い手は動いているが、考え事をしながらの作業はあまりよくない。注意も散漫になってしまうし、ちょっとしたミスに気づかないこともある。
「考えるのは仕事が終わってからにしようよ。それに、ここを自宅にして近くに広い店舗を借りたりしてもいいじゃない」
「あ、なるほど……」
 このまま続けるか、手放して新しい場所へ移るか、カミルはその二択で考えていたらしく、アリアの言葉は目から鱗だったようだ。
 カミルが「いいな~」とにんまりしていると、「開けていいかい?」とエマの声が厨房へ聞こえてきた。
「あ、もうそんな時間か」
「私は準備オッケーだよ」
「よし。母さん、開けて大丈夫だ!」

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