婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
 そうなのだ。この世界は、アンジェリ―ナが前世で生きた世界とは違い芸術性に乏しい。

 殊に彫刻とは無縁で、王宮の内装ですらのっぺりとしていてどことなく豪華さに欠けていた。ひょっとするとこの世界ではなく、スチュアート王子のようなポンコツを育んだこの国だけがそうなのかもしれないが。

(フルーツカービングのよさが、伝わらないなんて)

 アンジェリ―ナは残念な気持ちで、「ああ~、どうしましょう」と喚いているララに目をやる。

「とにかく、どうにかして果物を処理しなければいけません。すでに臭い始めてるし、果物が片っ端から腐って汚部屋になるのも時間の問題ですよ!」

 すでに臭い始めているのはこれらの果物ではなく、タンスの奥底に眠っているドリアンが原因なのではあるが、ララの言うことはもっともだった。

「どうしようかしら? ララ、フルーツポンチを作ってみたら?」

「こんなに大量に作れませんよ!」

「あらそう? なら、どうしようかしら……」

 アンジェリ―ナは、顎先に指をあてがい、フルーツの山を眺めながら思いふける。そして、「そうだ!」と目を輝かせた。

「いいことを考えたわ」

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