婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
     ※

 ポルトス王国の親善大使であるラスカル大臣が、ここアッサラーン王国に招待されて、一週間が経過していた。

 アッサラーン王国側の目的は分かっている。彼らは、大国であるポルトス王国と国交を締結したいのだ。

 というのも、アッサラーン王国に隣接しているハイランド王国が、ここのところ怪しい動きを見せている。ハイランド王国は、強大な軍事力を駆使して小国を取り込み、みるみる力を強めている侵略国だ。

 アッサラーン王国は、ここのところ内部情勢が揺らいでいるともっぱらの噂だ。おおかたそれに乗じて、かねてより狙っていたアッサラーン王国を手中にしようと、ハイランド王国は企んでいるのだろう。

 慌てたアッサラーン王国は、大国であるポルトスの大臣を招待し、もてなすことで、自国の守備を強化したいのだ。

 ポルトス王国にとっても、ハイランド王国は厄介な存在だった。これ以上勢力を広められてしまうのは困る。そのため、アッサラーン王国との国交締結の話には前向きだった。

 だが、ラスカル大臣は、ここにきて迷っている。

「ラスカル大臣、まあ、ゆっくりとしたまえ」

「ありがたきお言葉にございます。スチュアート殿下」
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