二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて番外編『京都の夜』
 それを聞いて声を立てて笑いながら、靭也も夏瑛の隣に立って言った。

「遠慮せずにもらっとけよ。中村さん、けっこうケチだから、すぐに気が変わっちゃうかもしれないよ」

「なんだよ、ケチって。せっかく人がかっこよく決めたのに」と靭也に文句を言いつつ中村の目は笑っていた。

 気心の知れたふたりなのだということが言外からも伝わってくる。

 靭也の大切な知り合い。

 その人に自分を紹介してくれたんだ。
 あらためた嬉しさがこみ上げてくる。

「たいしたもんじゃないよ。レプリカだしね」

「いえ、とても嬉しいです。大切にします」
 夏瑛は深々と頭を下げた。

「じゃあ、宿に一旦荷物を置いて、また来るよ」

「ああ、待ってるよ」
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