二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて番外編『京都の夜』
 本当に楽しい夜だった。

『noir』 の常連さんはどの人も気持ちのいい人ばかりで、初対面とは思えないほど打ち解けて過ごすことができた。

「このままだと、靭、飲みすぎてここで寝ちゃうぞ」と中村さんに耳うちされて、名残惜しかったが10時過ぎに席を立った。

 鴨川沿いを宿まで歩いて帰ることにした。

 川面にネオンや車のライトが写って、昼とは別世界だ。

 中身の濃い一日でずっと興奮状態が続いている。

 11月半ばの京都の夜はかなり冷える。
 でも、その肌をさす冷気も気持ちよく感じるぐらいだった。

 靭也はかなり酒杯も重ねていたので足元がすこし危うい。

 夏瑛の肩を抱き、寄りかかるように歩いていた。

「夏瑛……」気まぐれに口づけが降ってくる。

 東京では、こんなこと、したことがなかった。
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