ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
Hiei's eye カルテ6:感じ始めた脅威


【Hiei's eye カルテ6:感じ始めた脅威】




「日詠先生、低血糖発作です。」


医局前で伶菜が白衣姿の男とぶつかった様子が気になり足が止まっていた俺よりも一足早くDrコールのあった妊婦のもとに駆け付けた美咲が病室に到着した俺に声をかけた。


『血糖値、いくつ?』

「65です。」

『ブドウ糖は?』

「ついさっき、服用して頂きました。意識も少し戻ってきたみたいです。」

『じゃあ、様子みようか。』


妊娠糖尿病で入院している妊婦の松永さん
妊娠して初めて血糖値が高いと診断され、上手く血糖コントロールができていないと看護師から報告を受けていた患者さんだ
俺が駆けつけた時にもまだ目がとろんとしていたが、時間経過をともに話ができるようになってきた


「なんだか、気分が悪くて、食事、食べたくなかったんです。」

「でも、食べないと、また低血糖に・・・・」


糖尿病管理がうまく行っていないことを把握している美咲が松永さんにそう声をかける。

美咲がそう言いたいのはよくわかる
血糖値が急激に低下して意識障害を来たしてしまう低血糖症状は身体への負担が大きくなり危険
それをしっかりと予防することで母体だけでなく、胎児にも影響を及ぼすリスクも高まる

でも、そんなことは松永さんも理解しているはず
身体がつらくて、食べられないということは
松永さん自身、苦しんでいるはずだ



『そうですか・・・何か食べられそうなもの、思いつきますか?』

「・・・う~ん・・・」

『それじゃ、栄養士さんに相談するようにしてみましょうか?』

「助かります。ヒントになるかもしれないし。」

「それじゃ、栄養科に早速、動いてもらいますね。」


俺はまだ意識が完全には戻っていなさそうな松永さんに少しでも静かに休んでもらおうと、美咲を連れて病室を後にした。



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