ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
私が駆け付ける前に祐希は既にベランダの敷居部分に登ってしまっていて、部屋の換気のために引いてあった網戸までもを自力で開いていて、既に右手が宙に浮いている状態。
今にも段差20センチ程度はあるベランダに落ちそうになっていた。
そのまま落ちれば、頭の強打は間違いなし
下手をすれば手首の骨折とかもあり得る
そう直感した私は
凄い勢いで走って駆け寄り、祐希を抱きかかえ上げた。
しかし、あまりにも勢いよく彼を抱きかかえたため
バランスを崩してしまった私。
でも、このまま前に倒れたら祐希は間違いなく頭をぶつけてしまうと瞬時に判断した私は身体を大きく後ろに反らした。
ドン!・・・ガチャン!!!
その結果、前に倒れ込むことはなかったが、勢い余って右斜め後方に倒れてしまった。
『祐希?、大、、丈夫?』
「キャッ!マー♪」
祐希は私のお腹の上に大の字になっただけで無事だったようで、その姿を見て安堵した私。
その瞬間、
『い、イタッ、イ・・・・』
ドクドクと脈を打つような痛み。
恐る恐るその痛みが生じている箇所に目をやってみた。
すると、左手の薬指と小指の真ん中の関節あたりから
真っ赤な血がダラリと流れ始めていた。
なぜ、指から出血しているのかわからない私。
以前、死んでラクになりたいという想い一心で何度もリストカットしてしまったけれど、剃刀を強くひく勇気がなくていずれも浅い傷だったからこんなにも出血したとこはなく、どうしていいのかわからなくて、まったく動くことができない。
そんな私にお構いなしに、流れ続ける鮮やかな赤色の血液。
気分まで悪くなっていたみたいで、視界がどんどんモノクロ状態になっていくのが自分でもわかった。
なにやってるんだろう
祐希を助けようとして、自分が怪我しちゃうなんて
まあ、祐希がなんともなかったからいいかな・・・・
ちゃんと母親らしく祐希を守ることできたかな?
でもなんか頭がフワーとしてきた
私、このまま出血が止まらずに
死んじゃうのかな?
私、このまま母親らしく祐希を守ることができなくなるのかな?
なんでこうなるかな?
せっかく、ようやく女性としてのシアワセを実感し始めていたところなのに・・・
死にたくないよ
死にたくない・・・
ガチャッ!
「伶菜?」