ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来



どうやら私は

森村医師に対する“怒りと信頼”という相対する想いが自分の中で混在していることに戸惑い、目を閉じじっと考えているうちに手術中にも関わらず眠りについてしまったらしかった。

しかも、起こされることのないまま、今いる病室まで運ばれたみたいで。



『そ、そんなコトない?アリ?・・な、なんで?』


レイナと自分の名を呼び捨てされた声を聞き、
ナオフミさんが自分を呼んだんだと思い込んで彼の名前を口にしてしまった自分の目の前に現れた森村医師を見て思わず動揺してしまった私。


ナオフミさんって口にしちゃったの聞かれたかな?

もし、森村医師がナオフミさん=日詠医師という関係に気がついたら
“日詠先生とはどういう関係なのかな?なんかいい関係って感じ?”って
絶対からかわれる


「だってさっきから何度も高梨さんって呼んでたのに、反応ナシだったから、ちょっと驚かそうと思ったのさ♪手術無事に終わったぞ!」

まともに彼と目を合わせられない私を
横から覗き込みながらそう口にした彼。

そしてマスクを外しニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

さては・・・

なんだかんだ言いながら少しずつジワリジワリと
日詠医師と私との関係という本題に迫っていくつもり?!



うわー

この人
やっぱりヤな人だよ



そんな笑みを見せつけられた私は
なんだか自分がこの人にかなわないような錯覚に陥り悔しい気分になっていた。


でも、この人は私の左手を治してくれた人
お礼は言わなきゃね・・・


『手術をして下さって、どうもありがとうございました。感謝してますッ!!!!』


でもやっぱり自分の“悔しい”という気持ちを隠すことができなかった私は
お礼の言葉を吐き捨てるように口にしていた。


「あんまり、ココロこもってねーな。」

そう口にしながらも相変わらずの笑みを浮かべていた彼。


『たーっぷり、ココロこもってますよッ!』

だから私も失礼な態度を重ねていた。


「うっそだあー」

『嘘なんかじゃないってば!』

「顔に嘘って書いてあるぞ♪」

『ウルサイ!!!!!』





コンコンッ!


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