ラヴシークレットルーム Ⅱ お医者さんの彼との未来
そう思えた私の目からは涙もすーっと消えていて
いつの間にか祐希がいるプレイルームに着いていた。
ふーっ・・・・
『高梨祐希の母親です!お昼ごはんが来たので迎えに来ました!お預かりして頂いてありがとうございます♪』
私はさっきまで激しく揺れ動いていた自分の心を落ち着かせるために大きく一息ついてから元気よく声を張り上げた。
「あっ、祐希クン、ママだよ♪高梨さん、祐希クン、今日もおりこうさんにしてました。祐希クン、絵本、本当に好きなんですね。」
「ママー♪」
プレイルームの奥から聞こえてきた萌え系の伊藤先生の声とともに1冊の絵本を大事そうに抱えた祐希が私のほうへ近付いて来た。
『その絵本、気に入ったんだ♪お借りしていこっか?』
「キャッ!」
嬉しそうな顔で絵本を持った両手を一生懸命伸ばして私にそれを差し出した祐希。
「どうぞ、お部屋に持っていってくださいね♪」
そんな彼を伊藤先生は優しく見守りながらそう言ってくれた。
「いとうせんせい!!!これ、動かないよ!」
そして彼女の後方からおもちゃの電車を手にしたマスク姿の4才ぐらいの男の子とその子よりも少し背が低く左腕にギプスを巻いた男の子がそう叫びながら彼女のもとに駆け寄ってきた。
なぜか二人共、目をキラキラ輝かせながら。
「あっ、これね、このスイッチをこっち側に押すと、ちゃんと動くからね!」
彼らの目をしっかりと見つめながら優しく微笑みそう説明をした伊藤先生。
カチッ!ガシャガシャガシ・・・
「あっ、動いた!ありがと、せんせい!」
「ボクもかして!」
「もうすぐお昼ご飯だから、そろそろお片づけしようね♪」
彼らの背中をそっと押しながら、プレイルームの奥へ戻るように促した伊藤先生。
「はーい!」
「ごはん、ごはん♪」
車輪が激しく動き始めたおもちゃの電車を手にしたその男の子達は元気よくそう返事しながら再びプレイルームの奥へ戻って行った。